2014年08月23日

8. 前頭側頭型認知症の症候学

頻度は多くはありませんが、人格変化や行動異常で介護の手間となることが多い病型です。世間様の目を気にすることなく、もはや取り繕うこともせず、「我が道を行く」態度が見られます。病理変化の広がりの違いにより、失語症を主症状とするタイプもあります。

側頭葉から前頭葉にかけて、8_1.png限局性の脳萎縮を認めます。左右差が見られることも多く、脳萎縮が顕著な部位(右図赤線)と比較的保たれている部位が隣り合わせに認められ、その境界が明瞭であることもしばしばです。









右の写真は、8_2.png前頭側頭型認知症の一つに分類されるPick病の病理変化で、ピック小体と呼ばれる封入体が多数認められます。神経細胞の中にタウ蛋白が異常に蓄積して形成されたものです。タウ蛋白だけでなく、TDP43やFUSといった他の蛋白の異常によって病気が起こることもあります。









前頭側頭型認知症は、8_3.png右図のように、まさに前頭葉と側頭葉の障害による症候が見られます。



前頭葉・辺縁系
•人格変化:人格が軽薄化して「我が道を行く」ため、反社会的行動をとることがある。本人に悪気はないので対処が難しい。
「考え無精」でその場限りのおざなりな言動に終始する。

•常同行動:融通が利かなくなって、同じ行動パターンを繰り返す。「時刻表」通りの生活パターンで柔軟性がない。目的や状況に応じた注意の切換がうまくいかない状態と考えられる。物事の手順を順序立てて実行することが苦手になる。逆にちょっとした刺激で注意がそれて、注意力散漫にもなりやすい。いつも同じところをグルグル歩き回る時、徘徊ではなく「周徊」という。

•不活発:意欲低下、無関心、抑うつなど精神活動の不活発化を認める。

•食行動異常:食べ物の好みが変化して、特に甘いものばかり偏って食べるようになる。食べられるものの区別ができず異食が見られることがある。 

•失語:前頭葉の後下方の障害が強いと、言葉がスムーズに出てこない、非流暢性失語がみられることがある。


側頭葉
•語義失語:側頭葉前方部の障害により、言葉の意味が分からない。(アルツハイマー型認知症の健忘失語の場合は、ものの名前が出てこず「あれ」「それ」が多くなるが、言葉の意味は分かっている)
posted by 御所ヶ谷HC at 13:00| Comment(0) | 認知症の症候学
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